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メキシコのペヨーテを食べる体験談|砂漠にサボテンなぎ倒す救急車

メキシコはサボテンの国。
大きな砂漠地帯の広がるメキシコ北部には、至るところにサボテンが生えています。

そのサボテンだらけの中に、神聖なサボテンがあります。
名前を「ペヨーテ」

不思議な力を持つサボテンであり、インディアンの儀式に使用され、国からも守られている大切な存在です。

ペヨーテを探し求める旅は、不思議なことが起きる波乱の時でした。
ペヨーテを探し求めて、メキシコにある砂漠の町に辿り着き、そこでは、サボテン1つを探し出すのに、馬は出て来るは犬は出て来るは、刺さるは暴れるは、仕舞には砂漠に救急車です。

そんなペヨーテを食べる体験談、ペヨーテの不思議を味わう旅の内容をお楽しみください。

 

ペヨーテを食べる体験談

ペヨーテとは

さまざまなサボテンが生息する中、このメキシコには古くから先住民のインディアン(ウィチョール族)が儀式に使用するサボテンがあります。
今では領土や国境の問題で、ネイティブアメリカンとメキシコ北部のインディアンは分かれてしまいましたが、元々は同じ国に居た先住民。共に今現在も古くからの儀式のまま、サボテンを使用しています。

そんな儀式に使用される、現地では非常に神聖なサボテンを「ペヨーテ」と言います。

ペヨーテには幻覚作用がある不思議なサボテンで、メキシコ北部の州と、アメリカ南部の州にのみ生息します。

メキシコでは、州からの持ち出しを厳しく取り締まる法律があるほどに、現地のインディアン、如いてはメキシコにとって重要で大切なサボテンとされています。
現地では、インディアンのウィチョール族が儀式としてペヨーテを使っていることで知られており、毎年ペヨーテを探し求めて、砂漠を何日も歩き続けた末の儀式も執り行われています。
※ペヨーテ wikipedia情報はこちら

 

ペヨーテを探すきっかけ

私がメキシコを旅していたこの時は、2018年2月。
話しは遡ること約半年前の2017年9月、私は南米はボリビアの山奥の村に居ました。

村で私は断食をしており、断食4日目の夜、月明かりで照らされた外は青く紺色の世界でした。
夜中に起き、トイレに行こうと外に出た私の目に留まったのは、1本のサボテン。
サボテンの種類は「サンペドロ」。

突然、私はこのサボテンに話し掛けられます、「私を食べて」と。
「えっ?!!! 何て言ったの?!」と驚き混じりの私は植物と話しており、翌朝にその旨を宿泊場のオーナーおじいちゃんに伝えると、キラリと目の色を変えて私を秘密の部屋に案内してくれました。

そこで行われているのは、サボテン「サンペドロ」を使用した儀式。
誘ってもらうが、「今このタイミングではない」と感じた私は誘いを断ります。
すると、おじいちゃんは1枚のメモ書きを私に授けます。
そこには「メキシコ ペヨーテ サンルイスポトシ レアルデカトルセ」と書かれた暗号です。

そして、2018年2月、私はメキシコ人の友人エディ(男)&ルーシー(女)と共に、メキシコ サンルイスポトシ州 レアルデカトルセに居ます。

おじいちゃんをメッセンジャーとして導かれた土地に立ち、私は目的のサボテンペヨーテを探します。
ボリビアのサボテン「サンペドロ」によって開かれた旅の道、ボリビアのサボテンからメキシコのサボテンまでの橋渡しを受けた私は、「ペヨーテを何としてでも手に入れる!」と意気込んでいます。

 

レアルデカトルセ

友人のエディとルーシーと共に3人で舞い降りた土地は山道を車で走り続け、トンネルを抜けた場所にある閉ざされた砂漠地帯の町、レアルデカトルセ。
人の肌は砂漠地帯特有の色黒、民族衣装と白い歯と笑顔の素敵な人々が暮らしています。

レアルデカトルセの町全体の色は黄土色のみ、というシンプルな外観が広がり、土で作った家に石畳の道が広がり、移動は馬が主で、観光地化されており、レストランやホテルも点在する町です。

「レアルデカトルセから馬で砂漠を歩きわたり、砂漠でペヨーテを見つける」と現地の人に教えてもらい、馬を持っている人を訪ねて周り、運良く道端で知り合った人の家族を紹介してもらいます。

 

馬とのペヨーテ探し

早朝にレアルデカトルセの町を出発する我々3人と、馬の持ち主のメキシコ人男性。
馬の持ち主はペヨーテの地までガイドをしてくれるということで、彼を先導に1人1頭の馬に乗っての出発です。

私は人生で初めての乗馬で、私には夢がありました。
“馬と一体となり颯爽と馬の足音を立てながら風と一緒になる”

夢があるからには既に何度イメージトレーニングをしてきたことか。
馬と一緒に走るための乗り方は、私の脳が知っていると思い込んでいる私に、ガイドが教えてくれたのはとてもシンプルでした。

「はい、このロープを右に引くと、馬は右に行く。左に引くと?そう、左に行く」
「よし、じゃあ行こう!Vamos vamos」と、気楽なメキシコのノリです♪

ずいぶんと揺れる馬の背中はとても高く、大きな馬で、乗り上がると目の高さは3mほどです。
急に、軽くパカラパカラっと走り出すと、一様に「ワァー」とか「キャー」と言う我々は、楽しみながらの移動です。

そして、3時間ほど馬と共に歩いたり走ったりを繰り返し、目的地の砂漠に到着です。

 

砂漠のペヨーテ探し

歩いたり走ったりと忙しない馬と共に、我々は目的地に到着します。
ガイドが、「この辺りでペヨーテは生息している。それじゃあ、それぞれ見つけてくれ」と言い、馬を降りてペヨーテ探しが始まります。

ペヨーテは自力で探すのですが、砂漠のど真ん中、辺りを見渡すとサボテンだらけ。
メキシコの砂漠は、サボテンと砂のみです。
多種多様なサボテンが生え、動くと体にもれなくサボテンの棘が刺さり、動けば確実に刺さるという確実性があります。
どこを歩いても刺さるので、痛くて仕方ありません。

この地に来る前にペヨーテに関する情報を、ペヨーテに詳しいメキシコ人から聞いていました。
その人は、一緒に来たルーシーの友人で、彼女は定期的にペヨーテを摂取しにこの土地へ来ている常連です。
彼女はペヨーテに関して、あることを教えてくれていました。

ペヨーテ探しのポイント : “自分で見つけることが重要”

「ペヨーテは我々が探すのではなく、ペヨーテが我々を探しだす」と彼女は教えます。

・ペヨーテは育つのに約30年以上かかるので、根本から採ってはいけない
・再び育つように採る必要があるので、慎重に根本の上側から採る
・ペヨーテは土の中に埋まっているので、視覚的に見ても地上からはわからない
・丸くてかわいいのが特徴

ペヨーテはメキシコではとても大切で貴重な存在なので、採取には慎重で細心の注意を図る必要があります。

私は、視覚的に探しても見つからないので、ペヨーテ探しが始まってもペヨーテは探しませんでした。
ただブラブラと、サボテンの棘に刺されながらフンフンフンと鼻歌を歌いながら歩いていました。
歩いているだけですが、私の五感と第六感はフルで感覚を研ぎ澄ましています。
これは私の得意技で、「歩いていながら感じまくってます」スタイルです。

 

ペヨーテのガイド

ボケーとしながら歩いていると、フッと顔が向き、何かを周辺から感じる感覚があります。

その感覚を感じた辺りを視覚的に探し出すと、ありました!

見つけたのは直径10㎝の大きなペヨーテです。
慎重に根元を取らないように採取し、確保です。
ガイド曰く、直径5㎝あれば“大きいペヨーテ”になるようで、10㎝の特大のペヨーテを確保します。

満足しましたが、「もう1つ欲しい」と誠実な欲望が現れ、私は再度ボケーっと歩き続けます。

ボケーっと歩き続けるもそれ以上は見つからず、ガイドや友人達の微かな声が聞こえます。
「おーい、どこいったーー!」「帰るよぉーーー!」

声の遠さに、自分が随分と遠く離れていることに気付きます。

「絶対にもう1つ見つけたい」と全身全霊をかけて、ボケーに集中します。

すると、突然どこから現れたのか1匹の白い犬が目の前に居ます。。。

「どこから現れたの?!」と驚く私を犬はジーっと見て、何かを案内し始めます。
まるで、「こっちに来るんだ」と言っているように、私を見てから歩いて動き出し、ちゃんと付いて来ているかを止まって振り返り確認してきます。
「完全に誘導されている」と感じた私は、犬のように犬に付いていきます。

少し歩いたところで白い犬は止まります。

何もない土の上、大きな棘のあるサボテンの脇に鼻をやり、私を見る白い犬。
「ここを掘れ」と言われているとしか思えない仕草をされ、完全に、“ここ掘れワンワン”です。

掘ってみると、土の中から化け物のようなどデカいペヨーテが現れます!
慎重にペヨーテを採って手に乗せると、それは、手からはみ出る程の大きさで直径15㎝はあるモンスターペヨーテでした!

そして、ペヨーテから目を離すと、視界には白い犬がいなくなっており、辺りにもいない。
幻か、妖精か、メッセンジャーか。ただ感謝のみが残り、友人とガイドの元へ走って戻った私でした。

ペヨーテには本当にガイドがいるのかもしれません。

 

ペヨーテを食べる

「ペヨーテを食べると30分後くらいに幻覚の効果が出始める」
「帰りの馬に乗っている際に、幻覚を観始めるだろう」と教えてくれたガイド。

ペヨーテの効果がどんなものかを楽しみにしながら、我々はペヨーテを食べます。

ルーシーは一口食べて、あまりの不味さに顔をしわくちゃにして嫌悪感100%です。
「うわっ!こんなもの食べられない!口に入れるのも無理!」

エディは頑張ります。もの凄く頑張っているのが、手に取ってわかる顔をして食べています。
そして真顔、飲み込むことのみに集中しているが、喉がそれを拒否しているようで、真顔のまま地面の1点を集中して見続けて、放心状態のようです。

2人の様子の理由はペヨーテを口に入れて直ぐにわかりました。
あまりの不味さに喉も拒否をするが、口内にその物を滞在させておくことを口が拒否するほどの不味さ。

ペヨーテの効果を知るためにペヨーテを歯で砕き、とにかく不味い味を抽出できる限りして食べます。
ただ、味わってしまうと体が一瞬で吐き出そうと働くので、味合わないように噛み続け、それを食べたいが喉が飲んでくれないという状況に。

すると隣のエディが、「オロロロロロ!ヴゥエアァオ!」とガッチャンガッチャン猛烈に吐き出します。

「あの真顔からメッチャ吐くなぁ」と思うと笑ってしまいます。
笑って少しでも気を緩めると、味わってしまい吐くことになるので、我に集中しますが、デカ過ぎます。
見つけたペヨーテはとても大きく、食べども食べども減っていきません。

自分との闘い、ペヨーテとの闘い。
吐いてしまうと幻覚も効果も何もなくなることを知っているので、「絶対に吐かない!」と自分に言い聞かせ、何とか口に納め、飲み込んでいきます。
何とか飲み込めたと思ったら、そこにはルーシーとエディの食べ残しが。

“ペヨーテを知りたい欲”がある私は、それらを食べる次の闘いに入ります。

「よう、いつでも吐けるぜ」と体から言われているのを知っています。
しかし、絶対に何があろうが吐くわけにはいかず、吐いたら効果がなくなってしまい、私がここまで来た目的が果たせなくなってしまうので、それだけは何としても阻止する気持ちで一杯です。
真っ直ぐに立つこともできない、最早空気を吸ったら吐いてしまう状況です。

※食べた後の効果については、ペヨーテを食べるとエネルギー体。本当の自分の能力を教える魂とは をご覧ください。

ペヨーテの効果に9つの神秘|鹿が誘う魂は本当の自分の能力を教えるメキシコにある守られたサボテン、その名を「ペヨーテ」と言います。 メキシコでは、インディアンであるウィチョール族の儀式に使用され、...

 

砂漠で暴れる馬とペヨーテ

ペヨーテを食べることに成功し、残りは馬で行きと同じ砂漠と山道を3時間かけて戻るのみです。

ガイドが、「それじゃ馬に乗って」と言い、我々はそれぞれ馬に乗ります。

その時、石に括っていたガイドの馬の紐が解けており、ガイドの馬は遠くに行ってしまい、ガイドが走って追いかけに行きます。
我々3人はその場にポツーンとなり、ガイドが馬を追いかけるのを見守っていた次の瞬間でした。

明らかにソワソワし始めた馬達が、「ヒヒーン!!」
ルーシーの馬が前脚を高く上に挙げて暴れ始めます!
それに続いて、エディの馬も私の馬も暴れ始めます!
ルーシーの馬は前脚を地面に戻すや否や走り始め、それに続いて私の馬がルーシーの馬を追い、その後ろにエディの馬が走ります!

暴走です!

パカラッパカラッと全速力でどこかへ向かう馬と我々。

私は馬のスタートダッシュで体が後方へのけ反り、右手のみ馬の背中の鞍(くら)を掴み、体は左後方へ落ちてしまいます。
私の体は馬の横っ腹に付き、左脚は地面に着くような状態でほぼ落ちています。

「このやろう!落ちるかぁああ!!!!」と、狂い走る馬の横っ腹で気合を入れまくり、体を馬の背中の鞍(くら)に戻します。
「このやろう!」という気持ちは、「ペヨーテ吐いちゃうだろうが!!!」という思いのみからの発言です。

馬の背中に乗り直すことに成功した時、これまで催していた吐き気がなくなり、苦しみから解き放たれて気分爽快になります。
しかし、目の前を走っているルーシーがパニックになっているのが前方に見えます。

馬は完全に我を失っており、道のないサボテンや石の上を走り、ジャンプしての障害物レース状態です。
馬がジャンプした時の反動でルーシーの体が左側へずれ、次の瞬間、全速力の馬の揺れでルーシーは背中から投げ飛ばされます!

「ズザザザアアアアアァァァ!!!」と、砂煙と共に地面の煙の中に消えていくルーシー。

「あぁ!!ルーシー!!!」と叫びながらも、必死に馬に掴んでいる私とエディ。
ルーシーが居るであろう砂煙の中を、疾風の如く駆け抜けていく私達と馬達。

 

夢が叶う

落馬したルーシーを後ろに、私もエディも馬をどうすることもできず。
馬がどこに行くかもわからない、馬をどのようにこの全速力の中操るべきかもわからない。
私はただ落ちないように必死に馬にしがみついていました。

しかし、初めに落とされそうになったことで怖れがなくなり、馬の振動が強烈であるが故に自然と腰が上がり、振動の吸収方法を理解します。
馬の操り方はわからないが、腰を上げて馬と共に振動を吸収する感覚がわかった時、私は馬と一体になっている感覚を味わいます。

「ただ全力で走る私」

私が人間であることを忘れたかのように、自分のことを馬だと思っている自分。
風を感じ、風を切る感覚が心地良く、まるで馬の気持ちがわかるかのように一体で、一緒に走っているのがわかります。

「どんどん速くなれ」と想っている私の想いが通じたかのように、まだまだ速度を上げる馬はサボテンを幾つも飛んで超えていきます。
飛び跳ねようがジャンプしようが変わりはありません、ただ前だけを見て風を切り颯爽と疾走する人間と馬は、もう一体です。

私は最高な気分の中にいました。
それは夢が叶った瞬間であり、夢を叶えている大切な時間。
“馬と一体となり颯爽と馬の足音を立てながら風と一緒になった”
私は夢の中、最高な心地良さの中、幸福感に包まれていきます。

「一体どこまで来たのだろうか?」
ルーシーのことをまるで忘れていたかのように我に還った頃、馬は落ち着きを取戻します。

私は前進であれば速度を調整できるようになっており、そこから全速力でルーシーの落馬した場所へ向かいます。
その際には最早、「ハイヤッ!」と馬をはやし立てて加速しています。

途中で、エディが馬と共に遠く彼方でクルクル回っているのを発見し、「……エディは何かと戦っている」と思いながら、一目散に猛スピードでルーシーの元へ駆けつけます。

夢のために、友人の大惨事をも完全に忘れていた時間を取り戻すかのように全速力です。

 

メキシカンスタイル

ルーシーは、小石と固まった砂の地面の上に落ちて横たわっており、泣き叫んでいました。
「ワンワン」泣いているのではなく、「ギャーギャー」泣き叫んでおり、悲痛さが強く心に突き刺さります。

ルーシーの元へ向かうが、痛みでパニックになっており話せる状態ではなく、救急車を呼ぶことにします。
しかし、そこは砂漠のど真ん中、携帯の電波もなく、車が来れる場所ではない。
一旦全員を集める必要があり、エディと、そしてどこかへ消えていたガイドを集めます。

ガイド曰く、「救急車は入って来れない」「ここから3時間かけて、馬で山道を超えて町まで戻り、そこから車で最寄の病院のある街に行く方法しかない」

しかし、ルーシーは体を起こそうとするだけで気絶するのではないかという悲痛の叫び声をあげるので、少しも体を動かすことができません。
この状態で無理矢理に馬に乗せて、パカパカラされた時には“死んでしまう”と、ルーシーも含めて予測します。

ルーシーの命に別状はなく、肩を損傷した状態だが、異常なまでに痛みを感じ泣き叫んでいるのを見ると、今後の体の動向が気になるところでした。が、その時から私には明らかに異変が起きていました。
それはペヨーテを食べることでもたらされる効果の始まりです。

我々は成す術がなく、ルーシーの痛み具合を見ながら、ルーシーが行けそうなタイミングで町まで戻ろうと考え、その間、ガイドは馬と猛スピードで町まで戻り、別の方法がないかを確認しに行きます。

そして、2時間が経過。
ルーシーは変わらず泣き叫んでおり、ここまでの痛みは尋常ではないことが容易に理解できました。

そしてガイドが町から戻ってきて、「山側とは反対側から強引に救急車を砂漠に入れてもらうことができたから、もう直ぐ救急車がやってくる!」と伝えてくれます。

我々は「良かった、これで病院に行ける!」と安堵し、地平線まで広がる砂漠を見ながら救急車を待つこと1時間。

「全然来ない!」と思った時に、遠くから音がします。

「バリバリバリ、ガサガサガサ」

救急車の音ではないが、砂煙が遠くに見えます。

しばらくすると、砂漠のサボテンをなぎ倒しながら、道も何も関係なく突進する暴走車が見えます!
しかし、外観は救急車です。

サボテンを「バリバリバリ!」と倒しながら、そして、我々の目の前にキーー!と暴走車が止まります。

「やった、ついに来たよ!」と、喜びが我々3人を包む中、救急車からはコーラを飲みながらゆっくり降りてくるジーンズの男2人。

救急車から出てきてドアを「ドーン!」と力一杯に閉めて、だぼだぼのTシャツに靴底を地面に擦るように歩く2人は、まずはテンガロンハットを被ったガイドに、「que tal?」と言いながら、手の平をお互いにパンと叩き、その手をグーにしてグーとグーで軽く正面から合わせる挨拶をします。
これはアメリカでいう、「Hey what’s up!」のラッパーのノリです。

私が想像する救急車像とはかけ離れた、「救急車停まっていたから盗んできました♪ところで調子はどう?」みたいなノリです。

これはメキシコ人のエディやルーシーからしても、思っていたものとはかけ離れていたそうで。

そして、ここから地獄が始まります。

 

サボテンなぎ倒す救急車

まず、彼ら2人が救急隊には思えない。ここには100%純粋な疑いしかありません。
そしてそんな彼らは、ルーシーを抱えて救急車に運ぶが、乱暴過ぎてルーシーは叫び暴れます。

とりあえず、そんな2人に「触るな」と伝え、我々3人は救急車の後ろに乗ります、が何と、そこには何もない。
救急車はただの引っ越し用ハイエースであり、車内には何もない。
搬送用の移動ベッドすらない、注射もない、薬品的なものもゼロ、皆無。
「座っていいのかな?」というようなクッション椅子が唯一の救いです。

そして、救急車を運転する彼ら2人は、「バリバリバリ」と強引にサボテンをなぎ倒していくので、車内は振動が激し過ぎて、ルーシーは最早叫びを通り越して泡を吹きそうになっています。
これは馬のパカラパカラが軽く感じるほどで、バラバラバラ!ガッタンガッタン、バリバリバリ!と手を抜かない救急隊員精神。

「スピードを落としてくれ!振動を抑えられるように道を選んでくれ!」と何十回言おうが、「ok,ok」で変わらない。
頭にコーラぶっかけてやろうかと考えたが、私は私でペヨーテの効果で別世界に入る状態で訳がわからなくなります。

ルーシーは叫び続け、私はルーシーの首をシュッと手套して、気絶させてあげたくてたまらないほどに辛そうです。
ルーシーは休むことなく叫び続け、叫びに強弱を付ける音楽のようになっていきます。
終始、“この世の終わりかのように”泣き叫んでいるが、振動によって、低音と高音を使い分ける悲痛のコンサート。それは地獄の単独ライブです。

悲痛の叫びが続く地獄のような時間が、車内に1時間以上続きます。
一番辛いのはルーシーです。そんなルーシーを見守るエディは、ルーシーを抱きかかえながらも実はペヨーテの幻覚世界に入っていたことは後々知るのでした。

そして、ついにコンクリートの公道に出て地獄を通り超えました。

ここで運転している救急隊の強みが発揮されます。
「これまでで一番早い車に乗っている」と本気で思うほど、街中を猛スピードで駆け抜けていきます。
もちろんピーポーピーポー言いながら、ノンブレーキで交差点を100㎞/h以上の速度で駆け抜けていくそれは映画の世界です。

そして、病院に到着。
診察に2時間待ち、医者に言われた言葉が、「ここでは見れないね」

「馬鹿なのかな?」と全員思うボケをされた気分です。

その日、ルーシーとエディはそこからさらに2時間かかる街へ救急車で向かい、私は我々の車や荷物があるレアルデカトルセに戻り、翌日に病院で合流しました。

※そんな旅をすることの気付きは、自分探しの旅にほぼ意味はないけど少し深みがある|海外旅5年間で気付く真実 をご覧ください。

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ペヨーテを食べる体験談 まとめ

ルーシーはその後、街の大きな病院へ搬送され、そのまま緊急手術を受けました。
肩にはボルトが入ったが、肩も腕も動くように回復していったので無事でなによりです。

砂漠のガイドはその後ずっと、砂漠のどこかへ走っていった馬達を探し続け、見つけ出したそうです。

私はさまざまな出来事がある中、ペヨーテを食べることでの効果を味わい続け、「ペヨーテとは何なのか?」を学ぶことができました。

ルーシーもエディも共に仲良くやっており、あの救急隊員の2人は変わらずコーラを飲み続けていることでしょう。

たかがサボテン、されどサボテン。
さまざまなことが起きた、サボテンペヨーテ探しの旅。
私にとってはボリビアから繋がった大切な旅の1つであり、ペヨーテにより“人間について”をたくさん学ぶことができました。

苦悩がある分、体験するものは大きく自分に影響し成長を促してくれます。
このハプニングにより、私は人間の真髄たる本質を深く理解し、ルーシーはその後の人生を変えるほど、この件で人生に対する考え方が大きく変わったそうです。

ペヨーテが人に教えてくれることは底知れないものがあるかもしれません。
何かを求めて、目的を持って向かう先には大きな経験が待っています。
この話は、ただの暴れ馬の珍事ですけどね。

それでは、メキシコにある神秘のサボテンペヨーテを食べる体験談を終了とします。
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました♪

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自分を見失い、人生に疑問を抱き、違和感を感じる時こそ、本当の自分という名のふざけた自分を見つけ出す変貌ストーリーが始まります。

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